恋するキオク




「ゴメンの一言も無いんだよ?圭吾のことになると、みんなちょっとおかしいよ」


「それは仕方ないって。だってみんなにとって、陽奈は邪魔な存在だからね〜」


「春乃、それひどいんじゃない?」


「そうかな。けっこう常識だよ」



ポンと目の前に置かれたオレンジジュース。

平気な顔をして言う春乃に、私はちょっとだけ複雑な気分になった。

それはつまり、春乃にとってもそういうことなんだろうなって思ったから。



「…ねぇ、春乃も私が邪魔?省吾と別れてくれた方が助かる?」


「はぁ〜?今さらそんなこと考えてないわよ。陽奈が別れたからって私が付き合ってもらえる保証なんてどこにも無いし」


「それは…そうかもしれないけど」


「あ、その返事ちょっと失礼」



ヒラヒラの淡い桃色ワンピースを着た春乃は、冗談ぽく私にそう言うと、模擬店に来た別のお客さんの所へと接客をしに走って行った。

私はその後ろ姿を見ながら、ちょっとだけため息をつく。



春乃には、ホントのこと言って相談にのってもらおうかな。

その方がたぶん心強いし。



別に春乃の意見を参考にしたいと思ってるわけじゃなかったけど、私はどこかにこの不安を吐き出せる場所が欲しかったんだと思う。

ただそこで、どうしようどうしようって呟けるだけでも、なんとなく気持ちが落ち着くんじゃないかって思うから。



私は春乃が運んで来てくれたオレンジジュースを飲み終えると、席を立って接客に回っている春乃に声をかけた。



「春乃〜、また後から来るね」


「次は省吾先輩もね」


「はいはい…」



それじゃあ相談もできないじゃん。



でも、省吾の所へも行かなきゃ。

イベント二日目の明日、一緒には行けないってことをちゃんと省吾に伝えないといけないから。


その理由を、
どうやって説明するか。

私の中でも、まだそれを決めることができてないけど。