恋するキオク





圭吾は少し屈むように覗き込むと、眉をしかめながら私の顔を見つめた。

近づかれると、ドキドキが全部聞こえちゃうのに…



誰もいない教室で、こんなに近く圭吾と二人の時間を過ごす。

それはきっと、今はまだ実感することができないけど、いずれはとても貴重なものになっていくんだろう。

圭吾が言うように、私たちの関係は、みんなに堂々と言えるようなものなんかじゃないから。




「プっ…変な顔してんな」


「はっ!もう、なんなの!」



圭吾が急に吹き出すから、私はどう反応していいかわからなくて下を向いた。

そんな私に、
圭吾は優しく触れてくる。



「この小さい鼻とかさ、ふにっとしてるほっぺたとか」



そう言いながら、圭吾は私の顔にそっと指を這わせて



「よく濡らす目も、ちょっと広めのおでこも」



圭吾のキレイな指。

それが私の唇に触れると、私はドキッとして、もっと動けなくなる。



「笑うとでかくなるこの口も」



時間が、止まればいいのにね。

この瞬間に、
止まってくれたら良かった。



「ずっと、見てたいじゃん」



誰にも邪魔されないで

大きなことなんて望まないから、ただ近くにいさせてほしくて。



「圭吾…」


「オレも同じだって。何かを犠牲にすることもあるかもしれないけど、覚悟はできてるよ。
……ずっと、一緒にいよ」



また重なった二人の影が、窓越しの光に反射して

その想いを、廊下の向こうにまで広げて行った。




パタパタパタ…

階段を下りて行く誰かの足音。




私だって、
ずっと一緒にいたかった。

ずっとずっと、圭吾の近くにいたかったんだよ。