「・・・え?!」
眠気が一気に吹き飛んだ。
・・・今姉ちゃん、好きって言った?!
俺の名前を呼んで、好きって・・・言ったよな?
ドキドキと心臓が脈を打つ。
「絢美・・・」
俺は初めて姉ちゃんを名前で呼んだ。
無意識のうちに呼んでいた。
それが聞こえているのか分からないけど、姉ちゃんはまた笑う。
「へへぇ、ずっとそばにいてね・・・けぇい」
「・・・ずっといるよ、絢美」
姉ちゃんはただ寝言で言っているだけなのに、どうしてこんなに嬉しいんだろう。
どうしてこんなに愛おしく感じるんだろう。
・・・そんなの、答えは分かっているんだ。
俺が姉ちゃんを、好きだから。
姉ちゃんを“一人の女”として見ているから。
・・・もう長い間、ずっと。
父さんについていったのだって、姉ちゃんと離れたかったというのも一つの理由だった。
このまま一緒にいたら気持ちが止まらなくなると思ったから。
好きで、たまらなく愛しくて、ものすごく大切で。
でも俺は“弟”だから。
姉ちゃんを幸せには出来ないし、姉ちゃんに“男”としても見てもらえない。
だから離れれば、この気持ちだって消えると思ったんだ。
一番近くにいたから“好き”だと錯覚してたんじゃないかって。

