見慣れない通学路に少し戸惑いながら歩いていると、突然誰かとぶつかった。
───ドンッ
「いたた・・・すみませ・・・」
痛そうに肩をさすりながらも、律儀に謝ろうとしてくる女の子。
手を貸そうと彼女の顔を覗きこんで、心臓が止まるかと思った。
───嘘、だろ。
「・・・あれ?」
大きな瞳で俺を見つめながら、首を傾げているのは・・・。
・・・数年ぶりに見る、姉ちゃんだった。
数倍大人っぽく綺麗にはなったけど、顔立ちはそこまで変わってない。
元から色素が薄く茶色い髪は、肩の下まで伸びていた。
近くにいた友達らしき女の子に手伝われ、姉ちゃんは立ち上がって俺に頭を下げる。
・・・背も結構伸びたみたいだけど、俺よりは小さいな。
なんて考えながら、俺も姉ちゃんに謝った。
「俺のほうこそ、すみませんでした」
「え?あっ、いえ全然!私が前見てなかったし・・・」
・・・あれ、もしかして。
姉ちゃん、俺に気づいてない?
焦りながら敬語で話す姉ちゃんの姿がとてもおかしくて、俺はとりあえず黙っておくことにした。
「じゃあ、また」
「あ、はい!」
姉ちゃんに背を向けて、手を上げる。
・・・あぁ、ヤバイ。
かなりヤバかった・・・。
「・・・可愛くなりすぎだろ、姉ちゃん」
緩む口元を手で隠しながら、俺はなんとか学校に着いた。

