『次は□×、□×駅です』
電車のアナウンスが告げる。
俺は今日から、新しい街で暮らしていくんだ。
電車が静かに止まり、たくさんの人が次々降りていく。
俺も続いて電車を降りた。
今日はこれから、学校に行くことになっている。
本当だったら先に家に行って、明日学校に行くはずだったんだけど。
「早く行ったほうが馴染みやすいし、絢美をびっくりさせられるじゃない?」
と、いたずら好きの母さんから電話で言われ、そうすることにした。
───如月絢美、俺の姉ちゃん。
・・・久しぶりだな。
元気にしてるといいけど。
姉ちゃんのことを考えると、自然と頬が緩む。
これは昔っからだ。
明るくておてんばで、たまに抜けてるところがあって。
でも隠れた努力家で、大事なとこはしっかりしてるし、何より優しい。
そんな姉ちゃんを昔から誇りに思ってた。
・・・それだけじゃない。
俺は小さい頃からずっと、姉ちゃんが好きだった。