「多分お母さんと絢美を、不安にさせたくなかったのね」
「だから無理して楽しそうに、はしゃいでたってこと・・・?」
「・・・お母さんはそう思うわ」
私は無意識に2階の部屋を見つめた。
・・・慧。
「とりあえず、絢美はお風呂に入ってきなさい」
「・・・うん、そうする」
お母さんに言われて、私は自分の部屋に着替えを取りに行った。
隣の部屋からは微かに物音が聞こえる。
慧がどんな様子かは分からない。
心配だけど・・・今は、そっとしといた方がいいんだよね。
私はそのまま下に降りて、お風呂に入った。
「ふぅ~・・・」
深いため息が反響する。
湯船につかりながら私は慧のことばかり考えていた。
・・・今日久しぶりに会って。
少しぎこちない空気になるかな、って思っていたけど、慧は明るく笑って私やお母さんを和ませてくれた。
まるで今まで一緒にいたみたいに、自然と私たちに馴染んだ慧。
相変わらず、気配りの出来るいい子だ。
・・・意地悪なところも変わっていなかったけど。
でも、慧だって色々悩んでいるんだよね・・・。
それを隠して・・・明るく笑っているんだね。
───私だって強くなると、決めたんだ。
私は素早く頭と体を洗って、お風呂を出た。

