「随分と、善人面しているのね?」
背後から女が舞い降りる。
「タナトス。」
「ふふふ……」
タナトスはサタンを見据えた。
「貴方を許しはしない。永劫に。」
そう言って嘲笑う。
刹那。
「タナトス。」
誰かが呼んだ。
白髪が煌き、緋い瞳が見据える。
「サタン。」
サタンはその声を見た。
「何よ。」
タナトスは拗ねたような口調をした。
その声の主の服装は質素だが、何処か威厳がある風貌だ。
「神。」
サタンは存在を確認するように名を呼ぶ。
「汝らの行いは目に余るものがある。……無闇に転生を行い、その男の人生を狂わせた。」
「だったら、初めから罰を下せばいいじゃない。」
タナトスは言う。
「初めから……私を魂の輪廻から外すなりして、罰せれば良かったじゃない。」
その言葉からは、初めから罰を望んでいたとさえ思えた。
「ゼロを喪い、孤独を憎悪で埋めようとしていたのだろう。我は見ていた。」
「今更、憐れむつもり?」
「いいや。」
神はタナトスとサタンを見る。
「既にサタンは器と同一化している。同一化した罪人はレヴィアタンの場合は人間界へ向かわせ、守護させる役を命じた。サタン。汝には地獄界の番人として此処を守護してもらう。」
そして、骸に触れる。
「哀れな器よ。汝には未だやるべきことがあるはずだ。」
そう言うと骸は灰となり舞い上がった。
「タナトス。」
「……はい。」
タナトスは子供のように返答する。
「我の傍で魂を送れ。」
「仰せの侭に。」
そう言うと目を伏せた。
その前を光が通る。
「?」
「姿無き番人だ。」
神は言う。
「番人?」
「我の傍で共に此処を守るものだ。」
光の玉が神の傍で回る。
ふと、それがゼロの姿に見えた。
生の罪人。
一番近くに居て、いとおしいもの。
器から光が放たれ、神の元へ抱かれて、それぞれの罪人は光となった。
宝石のように砕け、舞い上がり、神の元へいく。
それはこの世で無いくらい美しい。
『タナトス。』
不意に光がタナトスを包んだ。
本来ならば、許されないものは灰となり消えるはずだ。
魂の輪廻から外れ、忘れられる。
『ごめんね。』
そう言うと、許しの証を外し、タナトスに付ける。
『なっ……!』
許しの証を外すことは許されないものとして死ぬことだ。
『じゃあね。』
ゼロは光となった。
最期の彼女は笑っていた。
「ゼロ……」
背後から女が舞い降りる。
「タナトス。」
「ふふふ……」
タナトスはサタンを見据えた。
「貴方を許しはしない。永劫に。」
そう言って嘲笑う。
刹那。
「タナトス。」
誰かが呼んだ。
白髪が煌き、緋い瞳が見据える。
「サタン。」
サタンはその声を見た。
「何よ。」
タナトスは拗ねたような口調をした。
その声の主の服装は質素だが、何処か威厳がある風貌だ。
「神。」
サタンは存在を確認するように名を呼ぶ。
「汝らの行いは目に余るものがある。……無闇に転生を行い、その男の人生を狂わせた。」
「だったら、初めから罰を下せばいいじゃない。」
タナトスは言う。
「初めから……私を魂の輪廻から外すなりして、罰せれば良かったじゃない。」
その言葉からは、初めから罰を望んでいたとさえ思えた。
「ゼロを喪い、孤独を憎悪で埋めようとしていたのだろう。我は見ていた。」
「今更、憐れむつもり?」
「いいや。」
神はタナトスとサタンを見る。
「既にサタンは器と同一化している。同一化した罪人はレヴィアタンの場合は人間界へ向かわせ、守護させる役を命じた。サタン。汝には地獄界の番人として此処を守護してもらう。」
そして、骸に触れる。
「哀れな器よ。汝には未だやるべきことがあるはずだ。」
そう言うと骸は灰となり舞い上がった。
「タナトス。」
「……はい。」
タナトスは子供のように返答する。
「我の傍で魂を送れ。」
「仰せの侭に。」
そう言うと目を伏せた。
その前を光が通る。
「?」
「姿無き番人だ。」
神は言う。
「番人?」
「我の傍で共に此処を守るものだ。」
光の玉が神の傍で回る。
ふと、それがゼロの姿に見えた。
生の罪人。
一番近くに居て、いとおしいもの。
器から光が放たれ、神の元へ抱かれて、それぞれの罪人は光となった。
宝石のように砕け、舞い上がり、神の元へいく。
それはこの世で無いくらい美しい。
『タナトス。』
不意に光がタナトスを包んだ。
本来ならば、許されないものは灰となり消えるはずだ。
魂の輪廻から外れ、忘れられる。
『ごめんね。』
そう言うと、許しの証を外し、タナトスに付ける。
『なっ……!』
許しの証を外すことは許されないものとして死ぬことだ。
『じゃあね。』
ゼロは光となった。
最期の彼女は笑っていた。
「ゼロ……」


