顔にかかった布団をそっと取り、
背中へ手を入れて仰向けにする。

タオルでおでこの汗をふき、冷却剤を貼った。


『んん…』


何か異変を感じ取ったのか、眉間にシワを寄せたが、

また眠りに落ちる。



「亜希。

大丈夫?」


小さな声でつぶやき、ラグに腰を下ろす。



綺麗な笑顔が頭をかすめる。


あの口ぶりじゃ、きっと藤が丘は知らない。


あの約束を。




僕はあの雨の日、亜希にあげたんだ。

僕の ずっと を。



亜希は誰にあげたいの?

僕?

それとも…