すると、 誰かに後ろからすごい勢いで片腕をさらわれた。 ぐんっと腕を引かれて走り出す。 目の前には、 薄黄色の浴衣。 カタカタと駆ける下駄の音。 景色が屋台へと変わり、きらびやかな通りに入る。 人でごった返す通りに突っ込む亜希。 「ちょっと!! 亜希…っ!」 人混みに腕が引き剥がされる。 『ジローく…!』 亜希の声が消えた。