ネクタイを片手で抜き取りベッドの脇へ落とす。
意識が遠のく中、また無機質な音がなる。
***
ブロロロロロロ…
遠くで聞こえたエンジン音で目を覚ます。
部屋が熱を持っている。
汗だくだ。
カーテンを開け、窓を開け放つ。
まだ夜は明けていない。
静かだ。
新聞配達のバイクが各家々を回る音だけが、現実味を帯びている。
朝の涼しい風に、汗ばんだ肌が冷やされる。
「風呂…」
一言つぶやくと
ベッドから下りてドアへ向かう。
携帯の通知ランプが光っている。
放り出してある携帯を手に取る。
ボタンを押すと携帯の画面が光った。
現れるポップアップ。
開いたメッセージに目を見開く。
渉
今、亜希ちゃんと一緒にいるんだ。
昨日の20時に来ていた。
携帯を再び床に置くと、立ち上がりドアを開けた。


