「いるよ。」


ーーこの想いだけは、どこにも嘘がないんだ。


『へ、へぇ!!!

その子、か、可愛い!?』


「なんで亜希が照れてるの」

ふっと笑う。

真っ赤になった彼女が愛おしい。

反面、切なくなる。


「すごく可愛いよ。」


『そっか…いいな…。

きっとその子は幸せだね!』


真っ赤な顔で笑う。




眉間のあたりが疼く。

ーー独り占めしてしまいたい。

全部。全部。



衝動が身体の中を駆け上がってくる。



右手から大きなトレーラーが走ってくるのが見えた。

亜希もそちらに目を向けた。






ーー「好きだ」




聞こえない事をわかっていながら、

愛しい人の後ろ姿へ囁く。



爆音が通り過ぎ、シグナルが青になった。