その日の帰り道。


運悪く一番長い信号にひっかかってしまった。



『ジローくんはさぁ……』

亜希がおそるおそる口を開く。


「うん?」

『好きな人いる?』


かすれた小さな声。

嫌な予感が増幅する。



「…いる。」

答えるのと同時にトラックが通り過ぎ、声を掻き消してしまう。

『えっ?なあにー!?』
亜希が耳に手を当て叫ぶ。


こんな仕草も可愛くて仕方ない。

通り過ぎるのを待ち、亜希へ視線を向けてにこりと続ける。