一瞬びっくりして体が強張ったが、
その腕さえ愛しくて、
亜希を抱きしめ直した。
しばらくして、亜希が泣き止む。
『あの…ジローくん。
ごめんね。』
恥ずかしそうな亜希の声が届いた。
「ん。いいよ。」
亜希を抱きしめたまま答える。
『もう大丈夫…。
あの、この状態は…恥ずかしいかなと…。』
「今更?」
少し笑って答える。
亜希を解放し、顔を覗きこむ。
「ごめんね。」
『ううん、あたしも、ごめんね。
ジローくん。ありがとう。』
亜希が笑う。
立ち上がり、裏口のドアを開ける。
むわっと蒸し暑さが押し寄せた。


