錆びて開きが悪くなった裏口のドア。

開閉に強い力がいるので、亜希はいつも一人では開けられなかった。




階段の角を曲がると、

亜希が体重をかけ、取っ手を押しているところだった。



『うぅーーーーん!!!!』


取っ手につかまったまま、うなだれながらしゃがみこむ。


うつむいたまま肩で息をする亜希の表情は見えない。



後ろから亜希に近づき、

取っ手に置いてある亜希の手を掴み、
目の前にしゃがみ込む。


『ジローくん…!!!』

亜希は驚き、目を白黒させる。


「手、怪我…してない?」


亜希の手のひらについた鉄のカスを払ってやる。