ある日の放課後。
亜希からの突然の誘いに、僕は目を丸くした。


『ジローくん!

カラオケに行かないかい!?』

玄関に亜希の声が響く。



勉強は得意な方だ。
スポーツもまぁまぁできる。

けれど、音楽だけはすこぶる苦手だった。

僕は俗に言う、音痴なのだ。



「え……。


ん!?」


単純に驚いた。

だって、亜希は知っている。

『ジローくんが………
少しだけ音楽が苦手なのはわかってるよ!

見たいミュージックビデオがあるの!

付き添うだけでいいから!お願い!』



知っているからこそ、誘われた事はない。

だが、その後も続く亜希の懇願に負け、僕は渋々付き添うことにした。