亜希に視線を向けると、

悩ましげな顔でうつむいていた。



『亜希は気にしなくていい。

本山君は亜希以外はありえないって事でしょ?


あんなの嘘よ。』





『みーちゃん…、


今の話、本当なの。


私ね…


あの日、ジローくんと美緒ちゃんの話、聞いちゃったの…


ジローくんはっきり言ってた。


亜希は関係ない。恋人はいらないって。


いつか変わってしまうかもしれない関係なんて…最初からいらないって』



『嘘…』




こうして設けられた、協定。


あの頃の私達には、

小さな世界の中が全てで、

いつも何かに縛られていた。