亜希は僕を見つめた後、床に視線を落とした。 ゆっくり後ろを振り返り、 拾い上げたリュックを肩にかけ、部屋を出た。 玄関の戸が閉まる音。 亜希のあんな悲しい顔を見たのは、 いつぶりだろう。 一番に守りたい。 一番に大切にしたい。 一番に笑顔にしたい。 そう思ってきたはずなのに。 亜希の笑顔を曇らせてしまったのは、誰でもない 僕だ。