手を止めて、ドアの方を見る。 「どうぞ、入って。」 そっと部屋に入った金山さんは、 警戒している猫のように、きょろきょろと部屋中を見回しながら、 丸いブルーのラグに遠慮がちに正座した。 母さんがジムに着て行くTシャツとジップパーカー。 彼女が着るとやはり雰囲気が変わる。 「使う?」 椅子から立ち上がり、 クッションを金山さんの目の前に置いた。