金山さんを連れて、玄関に入る。
「母さん、タオル取ってくれるかな。」
少し大きな声で玄関から呼ぶと、
『はいはい!』
といつもの返事が返って来た。
パタパタ、という音と共に
バスタオルを持って、駆けてくる。
『あら?え!
ずぶ濡れじゃないの!』
「お風呂貸してあげられる?」
『すぐ沸かすわね!』
返事をして、また奥へ駆けていく。
『…ごめんなさい…』
金山さんが居心地悪そうにつぶやく。
落ち着いたようだ。
「お風呂入っておいで。
服はろくなのないけど、貸すから。」
バスタオルを渡す。
金山さんが小さく頷いた。


