一心不乱に絵を描き続けていると突然、背中を叩かれた。

背筋が凍った。

振り向きざまに殴られるのではないか。

海に近すぎたのではないか。

絵は描いてはいけないのだろうか。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

頭を隠し、私は縮こまった。

「なにしてんの?」

看護婦にしては、高い声。

男の声ではない。