そういうと、彼女は車椅子に乗った。

「これは約束のしるし」

渡されたのは、いつか彼女と集めた貝殻で出来たブレスレット。

決して器用ではない、穴も変なところに開いている。

私はそれを受け取った。

無言で草道を歩く。

帰ったあと、二人ともこっぴどく叱られたが、なんだか現実感がないような気分だった。

次の日、いつもの場所にたっていたが誰も言葉をかけてくれなかった。

何度も、何度も振り返っても、そこには彼女は居ない。

秋風が私の何かを持っていってしまったようだった。

夜中に何か大切なものを失う夢を見た。

しんとした廊下、誰もいない。