「スケッチブック持ってる?」

「うん」

「じゃあさ、最後のポーズ」

「最後?」

そういうとともに私に抱きついてきた。

私はポカンとしていた、そして気が付いた。

彼女が泣いていることに。

「ごめんねぇ、最後がこんなんで」

私は抱きつく彼女の背中にゆっくりと手を回した。

それを見ているのは満月だけ。

ある種、幻想的な光景だったろう。

「見て」

ゆっくり離れると彼女は車椅子から立って見せた。

義足がぎちぎちと頼りない音を立て、彼女を支えていた。