「遅い!」

シーッと私が人差し指を唇に当てると、彼女はハッと両手を口に当てた。

そしてそのまま静かに海のほうへ。

「名残は あとに残れども またこの次の 日曜を 約していざや わかれまし さらば
胡蝶よ・・・」

彼女は歌いながら震えていた、なぜ震えていたかは後からわかった。

私は驚いた、何か悪いことをしてしまったのではないかと。

海は爛々と輝いていて、海に姿を照らしていた。

「綺麗だね」

「うん、綺麗」

しばらく無言で私たちは海を眺めていた。