しかし、目をそむけ続けた終わりが始まった。

「今日さ、夜中抜け出せない?」

突然の問いかけに驚いた。

「何時ころ?あんまり遅いと怒られちゃうよ?」

「怒られるような時間」

少しゾッとしたがこのときの私は興味のほうが勝った。

「じゃあ、十時、寝ちゃ駄目だよ」

そういうとその日は早めに戻ったのだった。

ソワソワした、何事にもなんだか上の空で、気分が浮いていた。

そして、夜中の十時を回ると、看護婦に出くわさないように用心しながら私は彼女の元へ
と走った。