その日の私は一つ違っていた。

いつもの場所でさまざまな色合いのスケッチブックを眺める。

心構えが違うと、世界はその心にあわせ、色を変える。

いつものように、まるで約束のように、背中をたたかれた。

「どお、海行く?」

私は下腹に力を入れた。

覚悟が鈍ってしまわないように。

「行く」

「え?」

自分から言ってきたのに彼女は意外そうに驚いて言った。