私は鞄から携帯を取り出すと時間を確認した。
もう午後の1時近かった。
2時間近くもこの店に居座っていたのかと思うと、何だかマスターに申し訳なく思った。
「あのね、行きたいけど・・・ピアノが月、水、金に変わったの。」
「そうなんだ?あの先生のところ?」
「ううん、お父さんが家に通ってくれる先生を探してくれたから。」
「そっか、んじゃ何時に帰る?」
「5時からだから、その前に。」
「聞いてもいい?」
「うん?」
「家はどこなの?」
私は住所を知らないことを思い出した。
それに招待出来ないけれど、家は教えても構わないとお父さんは言っていたから伝えても大丈夫だろう。
「住所、まだ聞いてないんだけど・・・和也の家から山の方に行くと天辺にある所なんだけど。」
「え?月島さんの家?」
「え?」
「あ・・・そうだ、かなうの苗字月島だよな?」
「ん?どういうこと?」
何で和也がお父さんの家を知っているのか?
「あ、月島さんって・・・かなうの家のお父さんだったんだ。」
和也は何か思い出したように目を見開いた。
「金髪の男の子・・・・あれ・・・・。」
和也はそう言って目を見開いたまま口を押さえた。
その仕草は何かとても大切なことを思い出したようだった。

