月島省吾の言葉に、私は少し疑問を持った。
あんな、冷血で自分の家族を簡単に殺すような人間が何故そんなママの条件をのんだのか?
お金にひどく執着するような人間だと、シオンも言っていた。
そんな人間がなぜ、その条件を聞き入れたのか?
「どうしてですか?どうしてあの人はママの言う通りにしたのですか?人の希望なんて、簡単に聞くような人じゃないですよね?」
私がそう言うと、月島省吾の目付きが変わった。
だけどその目付きは、何だかひどく悲しげだった。
「……リサは飛行機を降りて直ぐに、入院してるよ。」
「……え?ど、うして?」
「リサは飛行機の中で、自殺未遂をおこしてね。ボスが願いを聞いてやらなかったら、多分今頃は本気で死んでただろうな。」
私はママを想い、その場にへたりこみそうになった。
「まぁ、ボスとしちゃ世間体的にも、リサに死なれたら困るわけだ。跡取りだけを引き取れば本当に血の繋がりがあるのか、金に汚い周りの人間に色々追求されるだろうしな。後妻がリサなら周りの人間も納得するだろう。」
「……どうしてママなら、納得するんですか?」
「なんだ?聞いてないのか?リサはボスほどではないが、貴族の出身だ。」
私は小さい頃、友達と遊べなかったと言ったママの言葉を思い出した。

