叶う。 Chapter3





「・・・・・。」


「言っておくが、俺は美しい物以外に興味がない。だから俺の家に居る限り、少しでも綺麗にしているように常に心がけろ。エステに行こうが何しようが、美しさを維持するための費用だ。足りなきゃ言えばいい。」


お父さんの言葉に、思わず舌打ちしたい気分になったけれど、残念ながらそれをする勇気はなかった。


「それと今日はピアノだ。5時までに帰って来いよ。」


お父さんがそう言ったと同時に、また家政婦さんが飲み物を運んでやって来た。

色白で清潔感にあふれた家政婦さん達の姿を見ると、お父さんは本気でこんな事を言っているんだと思う。

そしてピアノで思い出した事があったので、私はお父さんに聞いてみた。


「あの、この家って何時にピアノを弾いてはいけないとか、ありますか?」


「ん?別にいつ弾いても構わないが。」


「前の家では、夜中でも明け方でも、防音室があったのでいつでも気が向くと弾けたんです。ピアノは音が響くので、あまり遅い時間だと迷惑かと思って。」


「いや、この家は基本全部の部屋が防音対策してある。だから好きな時に弾くといい。それと、今日調律を頼んである、お前の部屋に入るから見られたら困る物はしまっておけ。」


お父さんはそう言って、いつもみたいににやっと笑った。

私は生活音が全然聞こえてこない理由が分かった。