叶う。 Chapter3





家政婦さんが出て行った後、私は携帯で時間を確認した。


時刻は6時50分。

部屋に壁掛け時計が欲しいと思って、やっぱり必要な物を買い揃えようとメモに書き足した。


もうじき朝食の時間だ。

ご飯すら食べたい気分になれないけれど、今はまだご飯の時くらいしかお父さんに色々聞いたりする時間がないと思うと、仕方なしにご飯を食べに行こうと思った。


大きめのストールを肩からかけると、私は部屋を出てきちんと鍵を閉めた。

そして階段を降りると、そのままリビングに向かった。


リビングの扉を開けると、途端に暖かい空気が私を包み込む。

どうやらこの部屋は一日中暖かくされているんだろうと、暖炉を見つめながら思った。

私はなるべく誰とも目を合わせないようにしながら、真っ直ぐにダイニングテーブルに向かった。


テーブルに近づくと、その上座にはもうお父さんの姿があった。

英語で書かれた新聞を広げて読んでいるので、どうやらまだ私には気がついていない様子だ。


昨日みたいな目には絶対あいたくなかった私は、少し大きめな声でお父さんに呼びかける。


「おはようございます。」


私がそう言うと、お父さんは新聞をずらして私の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「おはようアンナ。よく眠れたか?」


私が笑顔で頷くとお父さんはそれを確認して、また新聞に隠れて見えなくなった。