叶う。 Chapter3





私は今日出かけるように、少し大きめのバッグをクローゼットから取り出すと、必要な物を詰め始めた。


するとやっぱり突然コンコンと、部屋の扉を二回ノックされた。


扉に向かってゆっくりと歩くと、昨日と同じ様に少しだけ扉を開いてノックをした人物を覗き見る。


それは昨日とは違う家政婦さんだった。


家政婦さんは皆、同じ服を着ている。
白いワイシャツに、紺のスカートを履きレースのエプロン姿のその人は、私の瞳をちらりと見ると丁寧にお辞儀をする。


「お掃除させて頂きに参りました。」


手に大きめの籠を提げ、そう言ったその人に私は無言で扉を開けると小さく「お願いします」とだけ言っておいた。


家政婦さんはキビキビとバスルームに向かうと、扉を閉めて中で何やらがさごそとしていたので、私はそれをあまり気にしないように窓から外の景色を覗いていた。

部屋に人が居る事はなんだか落ち着かない気分になるけれど、仕方ない。

これからはこれが毎日になると思うと、心底うんざりだけれど文句なんて言えない。

そして私はある事がなぜかとても気になり始めた。

それは、耳の良いはずの私が昨日も今日も、部屋をノックされるまで誰かの足音を聞いた記憶が無いのだ。