「ママが?……どうして?……それじゃあ、家族の援助に含まれますよね?私……出ていきます。」
私は慌ててそう言って、隣に置かれた貴重品の入った旅行用バッグを手に取り立ち上がった。
さっき貰った携帯で、位置情報も把握されていると月島省吾は言っていた。
だから、ここに長居するわけにはいかない。
「待て、小娘。人の話は最後まで聞くもんだぜ。」
立ち上がり、部屋を出ようとした私に月島省吾はそう呼び掛けた。
私は立ったまま振り返って月島省吾をじっと見た。
「お前には言うなと、言われたんだがな。結構頑固な奴だな……普通ならもう諦めるだろうが。」
「…………。」
「普通のガキならこの家に住めて、何不自由なく生活出来りゃそれで良いと思うだろうよ。」
「……私は家族に会いたいんです。絶対に会いに行くんです。」
私ははっきりとそう言った。
そんな私に呆れた顔をしながら、月島省吾は等々口を開いた。
「リサが、ボスに言ったんだよ。後妻になる条件としてアンナが大人になるまで、俺に面倒見させろってな。お前には音楽の才能があるから、ピアノを続けさせろって。それには普通の家庭じゃ無理だろ?音楽をやらせ続けるには莫大な金がかかる。」
月島省吾はそう言って、シルバーの葉巻ケースからまた葉巻を一本取り出した。

