″悪いが、授業が始まる。"
シオンが冷たくそう言った。
それと同時に騒がしかったシオンの背後が静かになった。
「ご、ごめん、あの……また電話して良い?」
恐る恐る、シオンにそう尋ねるとシオンは微かに笑って小さくこう言った。
″そっちの時間なら、朝の7時から8時くらいか。そのくらいが都合が良い。勿論いつも出れる訳じゃない。″
「わ、分かった!ごめん。」
私がそう言うと、シオンは直ぐに電話を切った。
急に切られたけれど、不思議と嫌な気分にすらなかなかった。
私はそのまま携帯を抱き締めて目を閉じた。
シオンと話せた。
たった数分だけれど、それでも充分だった。
例え内容の無いつまらない話でも、こうして声を聴くことが出来るだけとても幸せなんだと思った。
そんな私をシオンはうざいと思っているかもしれないけれど、本当に嫌なら電話ですらきっと話してくれないだろう。
そう思ったら急に嬉しくなって、私は一人ベッドでごろごろと転がってしまった。
それでも、何だか気持ちがとても高揚していて落ち着かなかった。
私はゆっくりと起き上がるとお風呂に入ろうと思ったけれど、クローゼットの前に置かれた二つの大きなスーツケースに視線を向けた。
流石に着替えは収納してくれていなかったようで、私は慌ててスーツケースを開くと全部の着替えや下着なんかをクローゼットに片付け始めた。

