叶う。 Chapter3





今度こそ部屋の鍵をしっかりと掛けると、廊下を歩く足音が聴こえて来ないか耳を済ませた。

大丈夫、耳の良い私に聴こえてくる音は木々の葉が風で触れ合う微かな音だけだった。

私はやっと落ち着きを取り戻し、ベッドに向かってダイブした。


反動でスプリングが音を立てた。

うつ伏せになって毛布に顔を押し付けると、ふとシオンの香水の香りがした気がした。

シオンが使っていた香水は一体何の香水なのか、無性に知りたくなった。

そういえば、せっかく携帯を貰ったのに私はまだ家族に連絡を取っていない。

ママがどうしているか、どんな具合なのか、気になりだしたらもう止まらなかった。

電話で連絡でとるくらいは良いと双子の父親は言っていたし、掛けても問題ない会話をすればいいだけだ。

鞄を開けて、さっき貰った携帯を手に取ると私は電源をつけて、アドレス帳を開いた。

そこにあったのは、ママとシオンとレオンの番号だけだった。

しかもご丁寧に、苗字がレイチャーチルに変わっているし、それは全て英語で書かれていた上に、そもそも携帯自体が全て英語操作になっていた。

私はママがインターナショナルスクールに通わせてくれた事に心から感謝した。


しばらく画面を見つめていると、何故か無性に緊張してきた。

はたしてこの電話がきちんと繋がるのかすら謎だったし、何よりも誰に電話を掛けるべきか物凄く迷ってしまう。