なんとなくそう言われるような気がしたけれど、予想通りの答えで逆に安心した。
立ち入り禁止なんて場所があるような家に、いくら友人でも呼びたくは無い。
ただ確認だけはしておかないと、和也はいつも私を家まで送ってくれる。
それはきっと、明日さよならを告げても送ると言うだろうことが簡単に予想が出来た。
場所を教えて構わないのなら、無理に逃げ帰る必要はなさそうだ。
「わかりました。」
私はそう言って紅茶に口をつけた。
いつも家で飲んでいた紅茶と違うその味に、また心が少し悲しくなった。
「それと、ピアノなんだが。」
「・・・はい。」
「新しい先生を見つけてきた。曜日は月、水、金の夕方5時からだ、場所はここで。だからその日は5時までに帰宅しろよ。それと前の先生には俺から連絡を入れておいた。」
「・・・・はい。」
先生に最後にお礼を言いたいと思っていたけれど、それも叶わぬ願いになってしまったみたいだ。
「安心しろ、きちんと礼はしてある。それにな、新しい先生を紹介してくれたのは前の先生だ。年齢は若いが、この家に通える事が条件でお願いした。」
「分かりました。」
聞きたいことや話したいことは沢山あったけれど、何故か頭に浮かんでこなかった。

