「分かった、全部明日にでも手配しよう。」
お父さんはそう言うと、氷の溶けかけたグラスにウィスキーを注いだ。
お父さんの明日と言う言葉に、私は反応した。
そう言えば明日は出掛けなければならない。
「あの、お父さん?」
「なんだ?」
「私、明日の11時に友達と駅で待ち合わせしたんです。こんな事になる前から約束していたので、さっき思い出して……ここから駅まで遠いいですか?」
「なんだ、デートか?お前本当に逞しいな。」
お父さんはそう言って、鼻で笑った。
その言葉に何だか少し嫌な気分になったけれど、そんな事で腹を立てる元気もなかった私は黙ったままお父さんの返事を待った。
「ここは天辺だからな、家を出て左手側の坂を下って住宅街を抜ければ駅までは20分てところか。学校は逆側の坂を下って行けば同じくらいだろう。」
お父さんのその言葉で、ここがちょうど学校から駅の中間辺りの山の上なんだろうと思った。
「・・・ここの家って、友達に教えても大丈夫なんですか?」
私の言葉にお父さんは葉巻を蒸かしながら何だか複雑な顔をした。
「場所を教えるのは構わないが・・・・ただ友人だろうが彼氏だろうがこの家の門より中には入れることは出来ない。悪いな。」

