それから・・・・。


お父さんと私は重苦しい空気の中、車に乗って空港へと向かった。
勿論、美弥もお父さんの付き人達も一緒だったけど、私はずっとお父さんにくっついて離れなかった。

飛行機が飛び立つまでの間も、私はお父さんに散々甘えた。
最後の我侭だと思ったし、ほんの少しでも良いからお父さんに私の体温を感じて欲しかった。


お父さんはそんな私に呆れた顔をしていっぱい溜息を吐いていたけれど、それでも何だか幸せそうな顔をしていた。

きっと私が結さんだったら、本当に幸せなんだろうけれどそれは叶えてあげられない。
だけれど娘として、最後に出来る親孝行はそれくらいしか思い浮かばなかった。


飛行機が無事に飛び立つと、ファーストクラスの広い座席にも関わらず、私はお父さんの膝に頭を乗せて横になった。


そんな私達を、美弥は相変わらず優しげな視線で見守っていた。


イギリスに着くまでは12時間くらいかかるから、少し眠るようにお父さんに言われたので、私はお父さんに言われるままその温かい膝の上でゆっくりと目を閉じた。


お父さんはそんな私の髪を、時折優しく撫でる。

その時、私はふと思い出して目に入れたままのブルーのコンタクトを外しておいた。