叶う。 Chapter3






「苦労させない程度の収入を得る為には、それ相応の代償が必要になります。そうですね、ごく普通の家庭程度の年収を考えますと、子供を苦労させない程度の年収でしたら600万程度は最低限必要です。」


「・・・・。」


「600万程度の年収を得る為には、分かりやすく言えば学校の教師や税理士や消防士といったところでしょうか。勿論他にもありますが、でもそれになる為には知識が必要です。」


「・・・・・・。」


「どれも大学、それも偏差値の高い大学を卒業して資格を取り、それでその年収が初めて得られます。」


美弥の言葉に、頭の悪い私でも何となく理解し始めた。


「その為には今、お嬢様がしなければならない事は明白だと思います。この家は旦那様の家ですから、旦那様の収入で生計を立てています。ですがお嬢様、年収が600万の家庭にお嬢様が嫁がれたとしましょう。」


「・・・・・。」


「その程度の年収でしたら、お嬢様のピアノを置ける家には住めません。それに加えて子供が産まれたら教育費、習い事、全てにおいてお金が掛ります。そうしたらお嬢様は今のようにピアノを弾くことも、美しさを維持することも出来なくなります。」


「・・・・・はぁ。」


私は美弥の言葉に溜息を吐いた。

頭の悪い私にも、美弥の説明は物凄く分かり易かった。