お父さんはお金でなんとでもなると言っていたけれど、私はそれだけはどうしても嫌だった。
何故ならお金で何とか出来るくらいなら、私のピアノにはその程度の価値しかないと思ったからだった。
純粋に、ピアノで勝負を挑みたかった。
そんな私に、お父さんはピアノの時間を増やし、それに加えてまたソルフェージュの先生をつけた。
そしてピアノを続けるにしろ、ある程度の学力は必要だった。
だから毎晩、美弥が付きっきりで家庭教師をしてくれている。
そして和也も、3年になって塾に通い始めた。
和也は元々の頭が案外良かったらしく、かなり偏差値の高い高校を受験するみたいだった。
週3日のダンスに、英語に、塾に、そうなれば必然的にお互いに時間がなくなるのは当然だった。
受験さえ終われば、一緒に居られる時間も増える。
だから、今はお互い我慢の時なんだと和也は自分に言い聞かせるようにいつも言っていた。
それでも一緒に居たい私は散々我侭を尽くしたけれど、和也は一切聞いてくれなかった。
好きだから一緒に居たい私と、好きだからこそ今は耐えるという和也の考えは、時に言い争いになった。
そして時間がない私は、何とか門限を伸ばしたり、泊まりに行ったりしたいとお父さんとも言い争った。

