叶う。 Chapter3





「じゃあ、明日また学校でね。」


和也は車の後部座席を開くと、私にそう言って美弥に会釈した。


「うん、また明日。」


「後で連絡入れるよ。」


私が車に乗り込むと、和也はそう言って優しく微笑んでその扉を閉めた。

私は窓からそんな和也に小さく手を振った。
だけれど美弥は急いで車を発進させた。



「お嬢様、申し訳ありませんがあと10分くらい帰宅時間を早めて下さい。」


「うん・・・ごめんね。」


「いえ、私は良いのですが・・・旦那様に叱られます。」


「・・・うん。」



私はそう返事をすると、少しだけ憂鬱な気分になった。

最近の私達は本当にいつも時間に追われてる。

それは私だけじゃなくて、和也も同じだった。
理由は簡単なことで、私達は来年中学を卒業するからだ。

義務教育が終れば、私達は高校に行くことになる。

そしてその受験の日は刻一刻と、私達に迫って来ているのだ。
夏休みが終わる頃、お父さんとその話を何度も何度も話し合った。

自分がやりたいことは何なのか、将来どんな道に進むつもりなのか、沢山話し合った。

私はその結果、やっぱりピアノを専攻することに決めた。

そして今度は、どこを受けるのかと話し合った。
それでも私はまだ決めかねていた。