そんな私にみやさんは、優しく微笑みかけた。
「お皿をお持ちしますね。」
みやさんはそう言って、部屋を出て行った。
私はそのままかじってしまいたいくらいケーキが食べたかったけれど、大人しくみやさんが帰ってくるのを待った。
すると直ぐにまたコンコンと2度、部屋の扉がノックされた。
「はい。」
私が返事をすると、お皿とグラスなんかをいくつかまとめて持ってみやさんが帰ってきてくれた。
みやさんは手際よく、私の前にお皿とフォークを置くとグラスにミルクティを注いでくれた。
「・・・ありがとうございます。」
何だか手間を掛けさせて申し訳ない気分になったけれど、私はお父さんに言われたとおりに大人しくされるがままだった。
自分でやりますと言えたら、少しは気が楽になるのに。
私はお皿にイチゴのタルトを置くと、小さく手を組んでお祈りをした。
そしてフォークを手に取り、ケーキを少しずつ口に運ぶ。
ケーキは相変わらず甘酸っぱくて、とても美味しかった。
ケーキを食べ終わると私は何だかすごく満足した気分で、さっきまでの憂鬱な気分が少しだけ落ち着いた気がした。
食べ終わった私の食器を片付けながら、みやさんは呟くようにこう言った。
「少しはご気分が落ち着かれました?」
「はい、とっても。」
「それは良かった。」
私がそう言うと、みやさんはにっこりとして汚れた食器を持って部屋を出て行った。

