叶う。 Chapter3





「あの、今何時か分かりますか?」


私は日記帳を机にしまうと、みやさんにそう尋ねた。
みやさんは腕に填められた時計をちらりと見ると私の方に向き直り、相変わらず綺麗で深いその声でこう言った。


「午後の2時13分ですよ。よくお眠りになられてたので、お昼は過ぎてますが、お食事は?」


「大丈夫です。」


「個人的な意見ですが、お嬢様はもう少しきちんとお食事をされるべきです。食欲を満たせばもう少し心も安定するかと思います。」


みやさんはそう言って、いつの間にか部屋の隅に置かれていた冷蔵庫に向かい、それを開けると中から私の好きなミルクティのペットボトルと、箱に入れられた何かを取り出した。


「ここのケーキがお好きだと以前伺ったので、余計なお世話かもしれませんがおやつでも食べませんか?」


私は微笑みながらそう言うみやさんにつられて、ソファに向かってその場所に座った。
そんな私にみやさんは箱を開けて、中が見えるように私にその箱を差し出した。


それはレオンがよく買ってきてくれたケーキ屋さんのケーキだった。
私は何だか急にお腹が空いた気がしてきて、箱の中から真っ赤なイチゴのタルトを取り出した。

途端にイチゴの良い香りがする。