元々、美術品置き場だったと言うだけあって、部屋の中にはピアノ以外にも、絵画や彫刻、それにいかにも高そうな置物なんかが綺麗に陳列されていた。
水晶みたいな石の置物に興味を持った私が、ゆっくりそちらに向かうと、お父さんは静かにこう言った。
「言っておくが、この部屋にあるもの全てはお前の命より価値がある。下手に触って壊したらどうなるか分かるな?」
その言葉に、私はおそるおそる振り返ってお父さんを見た。
だけれどその表情は冷たくて、きっと壊したら本当に殺されるだろう予感がした。
なので私は踵を返すと、静かにお父さんの元に向かった。
そして一緒にその部屋を出た。
後でピアノに触りたいと思ったけれど、何だかこの部屋に入るのは勇気がいる。
それからお父さんは、廊下を更に進んだ。
暫く進むと廊下の端に甲冑が何体か向かい合う様に並び始めた。
甲冑は鉄の剣を掲げ、何だか今にも動き出しそうでとても怖かった。
すると、お父さんはその甲冑のある場所で足を止めた。
「地下室はこの先だ。甲冑を目印にすると良い。この先は何があっても立ち入り禁止だ。」
私は目を細めて廊下の先に目を凝らしたけれど、その先は薄暗くてよく見えなかった。

