だけれどそんな私の心を読んだかのように、お父さんはこう告げた。
「言っておくが、お前は俺の娘である限り、周りからはお嬢様として扱われる。それを鼻にかけろとは言わないが、お嬢様はお嬢様らしく振る舞え。」
「……はい。」
「まぁ、そのうち慣れるだろうが。」
お父さんはそう言って、残りの部屋をゆっくりと回った。
家の中はとても広く、私は何だか覚えるだけで1ヶ月はかかるんじゃないかと思った。
1階にはリビングに応接間、それに使用人とお父さんが呼ぶ人達の部屋が3部屋と温室があり、温室には色々な植物があったので私はそれに興味津々になった。
私がワクワクしながら温室に入ろうとすると、お父さんはそんな私の手を掴んで足止めさせた。
「まだ回るから、見たければ後にしろ。」
私は心底ガッカリだったけれど、後でゆっくり見に来ようと思った。
そしてお父さんは温室と廊下を挟んだ向かいにある部屋の扉を開けた。
「ここは元々、美術品置き場だったんだがな。お前の為に用意した。」
そこには大きなグランドピアノが置いてあった。
こんな短時間でどうやって運びこんだのかは謎だったけれど、これだけ広い廊下に広い屋敷だったら、人数さえ居ればそれはそんなに難しい事じゃないのかもしれないと思った。

