それから数日後、

『明日から夏休みだから、宿題一気に配るぞ〜。』


と、担任の山ちゃんが言った。

山ちゃんっていうのは、呼び名。本当は山田先生。女だけど、男っぽい先生。


『玲!宿題多そうだね?』


『うわー。やだな。』


『一緒にやる?』



『うん。』


『じゃあ、玲ん家ね。』


『え!!なんで!おかしいよ!』


『なにがおかしいのよ?』


と、本当にわかってないご様子の遥。


『家、うるさいじゃん!おにいは夕方になったら前みたいにヤンキーたちが来るんだよ?』


『いいじゃん!玲が好きな翔平くんにも会えるしさー!』


って笑いながら言う遥。


え、待って。今なんて言った?、すき?
なに?あたしが?翔平を?好き?



あっりえなーーーい!!!!!


『ないないない!好きじゃないから!やめて、そーいう嘘!』


『好きじゃないの〜?私好きだと思ってたよ。』


って、遥がぽつり。


だって、ありえないよ!あれから、あってないし喋ってないし、友達だって言われただけで。翔平って呼んだら嬉しいって言ってくれたけど。


『あ!そーいえばね、圭太が言ってたよ。』


と、思い出したように遥は言う。

『何を?』


『圭太があんたのおにいとか、翔平くんとか、前の連れが、あたしたち2人と海行きたいって!』


『は?え?なに?圭太先輩も来るの?来ちゃうのね?で、おにいも?翔平って、え?翔平も?』


『そそ!だからね!買いに行こうよ!』


と、はりきって遥は言っていた。


『何を買うの?』


『あんた!水着に決まってんじゃん!!』


み、水着いいい?どうしよう!あたし絶対胸ちっさいって言われる!やばい!


『え、なに?それは、ビキニじゃないよねー?はるかちゃーん?』


と、不安になりながら言うあたし。


『何言ってんの?ビキニに決まってるでしょ?』


ビキニいいいいいい?


『あ、あの、あたし胸ないんですけど遥さん。』


と、だんだん、遥が、あたしより年上に見えて来て怖くなってなぜか敬語になるあたし。


『胸?あんたある方だと思うけど?』


『ほ、ほんと?』


『うん。』



と、なぜか、胸の大きさを褒めてもらって、放課後水着、いや、ビキニを買いに行くことになった。




『玲!これは?』


『え?これ?』


『玲に合ってる』


と言ってあたしに渡したのは、ピンク色のヒョウ柄で、黒のフリルが付いた、なんと、豪快な、エロさが混じってるんじゃないかと思ったビキニ。

『これ、エロすぎない?』


『いいの!これくらいじゃなきゃ!男はイチコロだよ?』


『お、男おおお?』


『あんた、なんのために、ビキニ買いに来たのよ。』


と、ため息混じりで言う遥。

『じ、じゃあこれにするよ!彼氏ゲットしに行くもん!』


とふてくされて言ったあたし。


『それでよーし!』


と、満足気味に遥は言う。

ちなみに遥のビキニはあたしが選んだ。


どんなのかって?


遥に似合う水色のボーダーに、黄色のリボンが付いたビキニ。


まあ、遥はなんでも着れるんだから、なんでもよかったんだけどね!