『遥!圭太先輩来たよ!』
『ん~?あ、ほんとだ!』
あたしは北山玲-キタヤマレイ-
隣に座っているのは平野遥-ヒラノハルカ-
遥の彼氏圭太先輩が2年の教室にわざわざ、遥だけを目的に来た。
圭太先輩は一つ上の3年生。
『何しに来たの?』
『遥と会いたくなって来た。』
真顔でそんなこと言うんだから、遥はゆでだこみたいに赤くなっていたが、これはいつものこと。
遥とは小学生から仲がいい。でも遥と私は大違い。
私はどっちかというと、中身は男子。外見は濃いメイクをしている。彼氏なし。
遥はというと、女子力?ううん、料理がうまい。あ、でも毒舌。メイクはナチュラルだし、先輩の彼氏はいるし。
『いーーーなあーー』
みんながいる教室でこんなことを毎日毎日ぼやいているあたし。
彼氏なんていたことはあるけど、キスなんてしたことないし、もちろんその上もない。
『玲、あんたさ、好きな人とかいないの?』
遥は頬杖をしながらあたしに聞いてきた。
『いないよ?』
『でもあんたのお兄ちゃん、よく、友達連れて来るじゃん?そこにいい人いないの?』
あたしには1個離れたおにいがいる。
よくダチだと古臭い言葉を言う仲間たちが家に来る。
『いない。あたし、チャラ男無理。』
『あ、そっか。』
そう、あたしはチャラ男が?いや、もーおにいの連れが嫌い。
実際あたしはおにいのせいで、男みたいな口調の上に、女らしいことなんて1つもできない。だから、彼氏なんてできないんだと思い続けて来た。