全校朝礼後、俺は担当である1年C組の教室へ主担任の吉川周一(よしかわしゅういち)先生の後ろを付いて行く様にして向かった。







吉川先生は大変真面目で厳格で、一言で言ってしまえば俺の最も苦手とするタイプの人間だ。







俺が憂鬱な理由はそこにもあった。








移動中、会話も一言も交わされないままついてしまった目的の教室。










吉田先生はドアのぶに手をかけるとガラッと勢いよくあけた。





吉川先生の背中越しに教室内を除き見る。

すると、この学校に入りたての生徒たちが緊張した面持ちでおとなしく自分の席に着席しているのが見えた。






一斉にこちらへと集められたそんな生徒たちの視線。








吉田先生の厳しそうなオーラに彼らの背筋がまた一段と伸びるのがわかった。








だが、







続けて俺が教室へと入るとさっきまでの緊張は消え、
多少のざわめきが生まれる。









とくに女達の高い声が俺についての感想を述べる。










「かっこいい」  と。










遠目からそう褒められる分には悪い気はしない。










ただ、めんどくさいのはこいつらが暴走するからだ。








「すき」



「つきあってほしい」






振れば、




「思わせぶりな先生が悪い」




「裏切られた」




「死んでやる」







おまけには彼氏が出てきて「俺の女に手出しやがって」とこっちの話も聞かずに殴りかかってくるやつもいた。













ホント、忙しい奴らだ。






俺は、過去の苦い思い出を他所に、自己紹介の終わった吉川先生に続いて自己紹介をした。







「小田彰佑です。担当教科は数学。ちなみに、絶対聞かれるのでめんどくさいから先に言うと24歳の彼女なし。ただロリコンの趣味はないからな。一年間、よろしく。」








先手必勝。







俺はちゃんと釘刺したぞ?








とはいったものの、
彼女なしの一言から女子達の騒ぐ声が止まなくなる。








ガキんちょの色めいた視線が怖くて充分に見渡せていなかった教室内。


だが、そのざわめきに、もう遅いと諦めがつき、ひとつ溜息をつくと初めてしっかりと顔をあげた。










と、そこには

















今朝、夢で出会った彼女がいたんだ。