ドアを開けてすぐ目に付いた部屋の奥にあるベット。
そこに目掛けて真っ直ぐ歩く。
ポスっと野々宮をベッドに下ろすとベッドの横に腰をかけた。
「着きましたよ、お姫様」
そんな俺に「ひめー?」とクスクス笑う野々宮。
「ここん家、体温計ある?」
「あ、はい!
そこの棚の一番上に入ってたと思います。」
野々宮がそう言って指した棚に手を伸ばす。
「先生ー?」
「ん?」
「体温計とったら帰っちゃいますか?」
それを聞いて思わず探し当てて持ち上げたばかりの体温計を落とした俺。
こんにゃろう煩悩を紛らわすために体温計のありかを聞いたというのに、人の気も知らないで…
この甘えたの野々宮は本当に俺をお坊さんにさせる修行中なのだろうか。
「そうだね。そう思ってた。」
そんな俺の答えを聞いてシュンと肩を落とす野々宮。
しょうがないな、おまえの修行にもう少し付き合うよ…
「けど、
そんな顔されたら帰れないし、
もう少しいてあげる。」
それを聞いて野々宮はパァっ と顔を明るくする。
「とりあえず、これ。」
あからさまに喜ぶ野々宮の可愛さに膨らむ俺の煩悩。
それをかき消すように体温計を野々宮に投げ渡した。
