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SHOUSUKE side
「どう?自分で入れそう?」
「はい…」
俺が戻ってくる前にさっきみたいな悪い虫はついていなかったが、代わりに野々宮の体調が目に見えて悪化していた。
お姫様だっこは嫌だと頑張るから
肩を貸して車まで運んできたが、
「やっぱりだっこした方が早かった。」
苦しそうになんとか車に乗り込む野々宮の耳元でそうこぼす。
そんな俺に野々宮はキッと睨みつけた。
野々宮の精一杯の抵抗なのはわかるが、頬を赤くしてクタっと脱力しきった姿で睨まれても….
あーやめやめ。
考えない考えない。
完全に乗り込んだ彼女を確認するなり扉を閉めると、
ふー、と1つ長い息を吐いた。
野々宮を乗せるのは2回目だ。
とは言ったものの。
下がってくれそうもない俺のテンションを鎮めるには精神統一が必要そうな予感
心の準備をしながら運転席につきシートベルトをしめた。
助手席を横目で確認するとシートに体を預けて苦しそうに息をする野々宮が目に映る。
弱ってる野々宮は
いつもの50倍は無防備で、
この精神統一が成功したら悟りを開いて坊さんにでもなれそうだ。
そんな考えに苦笑しながらアクセルを踏むと、
以前聞いた時に覚えてしまった野々宮の家へと車を走らせた。