「野々宮ー、体調ど………」











突然開いた扉。









そこには小田先生。











入ってきながらそう声をかけてくれたが、私達の姿が視界に入るなり先生は言葉を止めた。















だが、止まった言葉の意味など知らない私は
先生が戻ってきてくれた安心感と嬉しさで「先生!」とほんの少し心が弾む心に習って声を発した。











すると、そんな私に
先生は満足そうに笑いかけてくれた。












そして、こっちに近づいて来たかと思うと智哉先輩の首元を掴んだ。















「調子はどう?」













「えっと、………ぁ」












私にそう問いながら
智哉先輩の首元の手を後ろに引き私が寝ているベッドから彼を遠ざけた先生。













いきなり離れた先輩に思わず間抜けな声が漏れてしまった。












先生によって急に力が後ろへと働いた、先輩は「わ…っ」と少し声をあげる。















「…まだちょっと調子悪そうですよ、」








けほっ と苦しそうに咳をしながら私の代わりに笑顔でそう答えた先輩。











笑顔…なんだけど……、



何故か目が笑っていない。
















そんな彼に先生はもっと上手に笑ってみせた。












「ありがとう。



…で?神山は今授業中のはずだよね?

どこか体調でも悪いのかな?」

















先生の指摘に
あからさまな嫌な顔をすると
右手で頭を乱暴にかき、「治ったんでもどりまーす」といって背を向けた。

















だが、ドアの前まで来るとくるりとこちらを振り返る。











そして、先生の死角となっていた私と目が合うように少し移動をすると、

















「じゃあなことは。なんかあったらまた俺を頼っていいからな」












そう言い残して手をヒラヒラと振り保険室から出ていった。