「なに?みんなで滝修行でもしてるの?」
そう声をかけてきたのは……
「小田先生?!?」
私がびっくりしてそう声をあげる。
そう、声をかけてきたのは小田先生だった。
その瞬間、なぜかみんな先生を警戒したように私から遠ざけた。
「なんでお前がいるんだ!」
そう言ったのは西谷くん。
敵意むき出しのみんなが不思議で首を傾げる。
「たまたま通りかかったらお前らがいたんだよ。」
呆れたようにそう言うと、睨まれているのを微塵も気にせず私の近くまできた。
そして、
パサっ
肩からかけられる先生の上着。
「え…?」
びっくりして先生を見上げると「風邪でもひきたいんなら返して。」と意地悪な顔をして笑った。
西谷くんたちが「そんなのなくても俺が貸す」と、ぎゃあぎゃあ騒いでいる。
が、先生は近づいてきた時と同様に気にする様子もなく立ち去ると背中越しにひらひらとわたし達に手を振った。
そんな先生をみて沙奈は、うーん
と唸った。
「なんだ、この全部持っていかれた感じは。」
沙奈がそう呟くも
突然現れた小田先生と
そんな小田先生が着せてくれたが上着のことでいっぱいいっぱいになっていた私の脳に浸透する事はなかった。
